【登辞林】(登記関連用語集)


[ふ]

不法原因給付 不法な原因のためにした給付。不法な原因が利益を受ける者についてのみある場合を除き、不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない(民法第708条)。公序良俗に反するものは、「不法」とされる。本来、法律上の原因なく利益を受け、他人に損失を及ぼした者は、その利益を返還する義務を負うので(不当利得、民法第703条)、妾契約(愛人契約)や賭博行為は、公序良俗に反し無効なため、その行為に基づき給付をした者も、その返還を請求できることになるが、不法な行為により給付をした者は保護するに値せず、その返還を請求することができないとするもの。

不法行為 故意又は過失によって、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害すること。故意又は過失によって、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、その侵害により生じた損害を賠償する責任を負う(民法第709条)。
不法行為が成立する要件として、行為と損害の発生について相当の因果関係が存在することを要し、一定の場合には、違法性が阻却される(違法性阻却事由)。
特殊な不法行為として、責任無能力者監督義務者の責任使用者責任注文者の責任土地の工作物の責任動物の占有者の責任共同不法行為が規定されている(民法第714条〜第719条)。
胎児は、損害賠償の請求権については、すでに生まれたものとみなされる(民法第721条)。不法行為の損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為の時から20年経過した後は、時効によって消滅する(民法724条)。このうち、20年の期間については、除斥期間であると解されている。
配偶者内縁を含む)の一方が第三者と性的関係を持った場合、他方配偶者に対する不法行為となる。婚姻の予約の不当な破棄に対しては、債務不履行又は不法行為による損害賠償が請求できるとされている。
公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる(日本国憲法第17条)。国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責任を有する(国家賠償法第1条第1項)。道路、河川等、公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責任を有する(国家賠償法第2条第1項)。
失火の責任については、失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法、明治32年3月8日法律第40号)に特則が定められ、失火者は、故意又は重大な過失が無い限り不法行為責任を負わないとされる。
(→過失責任の原則)(→無過失責任)(→過失相殺)(→金銭賠償の原則)(→債務不履行)(→名誉毀損

ブラウザ(→Webブラウザ

フラット35 民間金融機関と(独)住宅金融支援機構が提携して提供する長期固定金利の住宅ローン。「買取型」と「保証型」があり、「買取型」は、(独)住宅金融支援機構が提携金融機関から住宅ローン債権の譲渡を受け、当該債権を信託銀行に信託し、不動産担保証券を発行するもの。これにより、(独)住宅金融支援機構は、市場(投資家)から住宅ローン債権の買取資金を調達することになる。抵当権設定登記の名義人は、(独)住宅金融支援機構となる。約300の金融機関で取り扱う。「保証型」は、金融機関の住宅ローンに対し、(独)住宅金融支援機構が保証をし、金融機関が当該債権を信託銀行に信託し、信託受益権証券を発行するもの。抵当権設定登記の名義人は、金融機関であり、(株)三菱東京UFJ銀行、(株)千葉興業銀行、日本住宅ローン(株)、SBIモーゲージ(株)の4つの金融機関のみが取り扱う。

振替休日 (1)本来休日である日に出勤あるいは登校等した場合に、その休日であった日を他の休日でない日に振り替えた場合の休日。
(2)国民の祝日に関する法律(昭和23年7月20日法律第178号)に定める、「国民の祝日」が日曜日に当たるときに、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日がなる休日(同法第3条第2項)。

振替国債 社債等の振替に関する法律(平成13年6月27日法律第75号)による振替決済制度の適用を受け、証券の発行されない国債。
振替国債は供託物とすることができる(供託規則第1条、社債等の振替に関する法律第129条1項、公職選挙法(昭和25年4月15日法律第100号)第92条)

ブリッジバンク(bridge bank) 破綻した金融機関の融資・預金等の業務を、引受金融機関が見つかるまでの間、一時的に行う銀行。日本では、(株)日本承継銀行、(株)第二日本承継銀行が設立された。 

ブルーマップ 社団法人民事法情報センター発行、(株)ゼンリン製作・販売の地番公図番号、公図界等が青字で記載された住宅地図。多くの法務局で備えられているが、発行されていない地域もある。別名「住居表示地番対照住宅地図」。

プロトコル(protocol) (1)条約原案。議定書。
(2)コンピュータの通信における規則、手順。通信規約。

プロポーショナルフォント(proportional font) 文字の幅に応じた、文字ごとに異なる幅を持つフォント。Windowsの日本語フォントのMS P明朝、MS Pゴシックなどがある。(→等幅フォント

分割型分割 (1)「人的分割」ともいい、会社法施行前の概念で、会社分割のうち、会社分割に伴い、承継会社の株式を分割会社(会社分割により、自社の権利義務の全部又は一部を、他の会社に承継させようとする会社)の株主に直接割り当てるもの。
(2)会社分割に際して、会社分割が効力を生じる日に、承継会社又は新設会社の株式を、全部取得条項付種類株式の取得の対価として又は剰余金の配当という形で、分割会社の株主に交付するもので、従来の「人的分割」同様の目的を達することができる(会社法第758条第8号、第760条第7号、第763条第12号、第765条第1項第8号、会社計算規則第2条第3項第40号、第50号)。

分社型分割 会社分割に際して、承継会社又は新設会社の株式を、分割会社(会社分割により、自社の権利義務の全部又は一部を、他の会社に承継させようとする会社)自身に割り当てるもの。会社法においては、目的とするものが、「分割型分割」であっても、「分社型分割」であっても、会社分割自体の法的意味は異ならない。物的分割ともいう。

分筆 1筆の土地を複数筆の土地に分割することであり、分筆の登記をして行われる。分筆の登記には登録免許税が課せられ、その税額は、分筆後の土地1筆につき、1000円である。

分別の利益 同一の債務につき、保証人が複数いる場合(共同保証)において、原則、各保証人がそれぞれ、主たる債務を保証人の頭数で除した額の債務を負担すること(民法第456条、第427条)。連帯保証、及び、保証連帯においては、分別の利益は否定される。

分離処分の禁止 (1)区分建物において、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、又は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合、規約で別段の定めがあるときを除き、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないとする規定(建物の区分所有等に関する法律第22条)。
(2)区分建物の共用部分の共有者は、建物の区分所有等に関する法律に別段の定めがある場合を除いて、共用部分の持分を、専有部分と分離して処分することができないとする規定(建物の区分所有等に関する法律第15条第2項)。
(3)抵当証券の発行されている抵当権については、抵当権と債権を分離して処分することができないとする規定(抵当証券法第14条第2項)。

1 2 3

このページのトップへ

Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved